2017年10月20日 お知らせ
欧州での国産米粉輸出プロモーション活動(フランス)報告
最後の訪問国フランスではまず17日、ジェトロパリ事務所を訪ね、農業担当の大西麻紀子さんと農業関係コンサルタントの相原由美子さんと意見を交換しました。
フランスの米粉事情について相原さんは「料理に必須な食材ではないが、南部で生産される有機米で作られた米粉は売られている。しかし、粉自体が粗く、使い勝手が悪い。フランスと日本では米粉にかける情熱は違う」と、紹介。こうしたことから、「日本産米粉の優位性を成分値など、数値と実物でパテシェさんなどにきちんと教えて、影響力のある人に認知してもらうことが必要」と、売り込みの方向性を示唆しました。その上で、「米粉のパンはもちもち感があると、パンフレットに書かれているが、フランスでは逆にパリパリ感を好む。食文化と国それぞれの好みの食感に違いがあることを認識して欲しい」と、話していました。
また、大西さんは「フランスにはネームバリューがあるパン屋さんが多いので、そこで、食材としての品質を証明してもらい、それをもって隣国や日本に′′′逆に売り込めば、広がりを持つのではないか」と、していました。
グルテンフリー食品の市場について、大西さんはフランでも市場は拡大しているとしながらも「アレルギーに悩む人たちからは違うリアクションはあるかもしれないが、オーガニックと同様にライフスタイルとして取り入れられている。愛好者でもグルテン含有量と言ってもピンと来ないかもしれない」と、説明していました。
フランスでの試食・商品説明・意見交換会は18日、市内の催事会館「L′Appartelier」で開かれました。参加者は15人余りと少なかったものの、実際に調理して出したベシャメルソースに対してフランス人の出席者からは「甘い、軽いものを作るのには最適な食材だ」との、評価を得ていました。
スケジュール上、フランスでの試食会は平日の14時からと、最も集まりにくい日程となりましたが、農業事情に詳しい日仏の女性コンサルタントやイタリアでの試食会に出席したホテル関係者から紹介されたという、パリ市内のレストランの上級シェフらが集まりました。
まず、NPO法人国内産米粉促進ネットワーク(CAP.N)の島田圭一郎理事長が「今度のキャンペーンは、ドイツ、イタリアに続きフランスで最後となります。成果を期待します」と、開会あいさつをしました。続いて、CAP.Nの萩田副理事長が国産米粉の全体概況を説明しました。ここでは「ニョッキにはもち米の米粉は使わないのか」「黒米を使った場合は、味は違ってくるのか」などの質問が出ていました。
続いて、萩田理事長が参加者の前で、ベシャメルソースを調理、その合間に日本から持ち寄ったクッキーやバームクーヘン、すでに料理したシフォンケーキを試食しました。萩田氏が「小麦粉で作るよりはるかに簡単でおいしい」と説明した、調理したてのベシャメルソースに話題が集中、「さっぱりしているが、もう少しバターがあってもいいのではないか」「味が軽く、とろみがあるので使いやすい。デザートに向く」「調理に使った米粉は、フランス産米粉よりはるかに軽く細かい」などの感想が出ていました。
ただ、味については「完璧です」(フランス女性)などと、評価は高かったが、コスト面では危惧感が多く出されていました。「消費者向けにフランスで売られている小麦粉は、1㌔1ユーロ(133円)、プロには50セントで売っている。仏産米粉はその3倍、日本産はまたその3倍になると言われている」との指摘がありました。
最後の意見交換でも市内レストラン「MELI Ā」の上級シェフ、パトリスドゥディェゴドゥラヴェガさんは発言を求められ「グルテンフリー食品として1品、2品を(健康食品店などで)売るのなら、ある程度高くても納得してもらえる。しかし、レストランメニューとしてレストラン全体の原材料として扱うには、現状ではコスト的に難しいのではないか。これが大きな課題だ」と、まとめていました。
今回も、陳列した米粉・米粉加工商品はほぼ参加者が持ち帰っていました。
今回のプロモーション活動の最後は、オペラ座近くの繁華街にある日本食のあらゆる食材を扱っている「KIOKO食品オペラ店」店内での米粉・加工品紹介と簡単な試食でのPRを行いました。
同店周辺には、有名な日本食料理店が点在し、店内には1商品の量は多くはありませんが、日本の食品スーパーに劣らない品ぞろえで評判な店です。その店の1階の一角を借りて、PRをしました。昨日の試食会で調理したシフォンケーキやクッキーを皿に盛り、米粉・加工商品も数種類ずつ並べました。
商品説明をしながら、消費者に基本的なアンケートする目的もあり、スタッフが通訳を交えながら、説明と質問をしました。フランス人でも日本への留学経験のある人は、日本料理に関心が高く流ちょうな日本語を交えて回答していました。73歳というフランスの男性は、仏政府から奨学金をもらい東大法学部に2年間に留学しましたが、当時の東大紛争で「ほとんど勉強しないで帰国してしまった」と体験を語り、「しかし、その2年間で日本食を含めた日本良さを知り、50年たった今も、日本食の愛好家です。アレルギー疾患は、社会的な問題だ。日本の米粉が少しでも役に立つよう期待しています」と、話していました。
日本食食材店なので、フランス人と日本人は半々、「グルテンフリー食品を知っている。気にしている」というのも半数という結果でした。