加工組合さくらの成り立ち

 平成17年4月、平成の大合併により松本市としてスタートした梓川は長野県中西部に位置し、上高地から流れる梓川の左岸にあり、扇状地の一角を形成し、田園風景の美しい安曇野の南玄関口にあたります。標高は600~700mで扇状地の上段は果樹を中心に畑地帯が広がり、下段は昔から水稲栽培が盛んな地域です。しかし現在は、水田の減反が目立ち日本の食文化の主食であったはずの米の自給も減り、ここ梓川も宅地への団地化が進み水田面積は減少傾向にあります。まずは、「加工組合さくら」の原型の紹介をします。平成5年、当時の梓川村に農産加工による転作作物等の有効活用・自給向上を目的に農産物処理加工施設「味来せんたあ」がオープン、そこを拠点に私達は平成11年に「梓川村農産物加工品開発研究会」(梓川村加工研究会)を発足しました。

平成13年、はじめて米粉派パンに取り組む

 発足当時は小麦粉中心のパンを焼いていました。まだまだ米粉パンの情報が少ない頃、米粉パンと出会う機会があり、小麦パンとは全く違う食感に感動を覚えました。それを期に米粉パンに引かれ米の消費拡大と地産地消を目的に、平成13年米粉パンへの取り組みが始まりました。早速、米粉パンの先進地である新潟まで研修に行き、研修を基本に「米粉パン」への挑戦です。小麦パンとの違いに戸惑い良い製品が出来ず、何度も新潟のベーカリーまで送っては却下され販売許可が頂けませんでした。ようやく試行錯誤の末、米粉パン製造販売の許可を頂いた時は本当に嬉しく仲間と喜び合ったものでした。今こそ誰でも米粉パンを販売していますが、当時は販売できる米粉パンが出来ないと販売を認められないという厳しい条件がありました。

 

 平成17年の合併と同時に私達は「梓川村加工研究会」を発展的解消し、「加工組合さくら」として現在新しい加工所で活動をしております。しかし「さくら」として再出発したものの当時は米粉パンの知名度が無く、商売することの難しさに悩み、素人の女性達の集まりで作る技術はあっても販路が開拓出来ず企業として成り立たない場面に直面しておりました。

米粉みそパンが長野県知事賞を受賞

 そんな折、平成18年長野県主催「信州の味コンクール」において「発芽玄米粉入り米粉やわらかみそパン」が最優秀賞の長野県知事賞を受賞しました。これが米粉パンの知名度を上げる火付け役になり「さくら」に活気を呼んでくれた人気商品となりました。5年経った今でも「米粉やわらかみそパン」は店一番の看板商品となっており、リピーターを増やし続ける「縁の下の力持ち」でもあります。

人気の米粉パンと受賞作品の紹介

 さて、米粉パンの紹介として・・・
①食事パンとして定着している「食パン風米粉パン」は玉子・乳製品未使用でアレルギーに対応できる頼もしい魅力が好評、予約で完売になってしまうこともしばしばです。
②純米粉を使った「純米シフォンケーキ」は小麦には出せない、ふわふわのやわらかさともっちりした日本人好みの食感がうけています。
③シフォンケーキから発展した「純米ロールケーキ」は、りんご・桃・ラフランスなど信州のフルーツの旬に合わせて製造しています。引き出物等に予約をいただく「和風ロールケーキ」は抹茶・塩あん・白梅あんと飽きることなくメニューは進化しています。
④「米粉菓子パン各種」はパン屋定番の米粉メロンパン・小倉あんぱんのスイーツ系パン、惣菜パン等150種とメニューも豊富で、季節に合わせて農産物利用に貢献しています。また「信州の味コンクール」で受賞している商品がいくつかあります。平成14年「丸ごとりんご」(ふーど賞)は米粉デニッシュ生地で完熟ふじりんごを丸ごと1個包んだ季節限定のりんごケーキです。

 

 平成16年「純米アップルデニッシュ」(優秀賞)は米粉のデニッシュ生地をりんご型に焼き、とろける米粉カスタードクリームに紅玉りんごを色鮮やかにトッピングしてあります。

 

 平成20年は2度目の快挙となった「畑の宝石箱」(最優秀賞長野県知事賞)は畑で採れた野菜や果物を寒天で練り半生飴の詰め合わせはキラキラ光る宝石のように仕上げてあります。中には発芽玄米粉と梅を使ったメニューも好評です。

 

 平成21年「豆腐と発芽玄米ご飯のベーグル」(優秀賞)は野沢菜・むらさきいも・かぼちゃ等種類も20種ほどあり、自然の素材ともっちり食感が人気です。

米粉に寄せる私たちの思い

 今でこそ「米粉」は期待の穀物素材となっていますが、私たちが米粉パンに魅せられ10年が過ぎました。長野県ではいち早く米粉パンに取り組んで、経験を積み技術を磨き、今では米粉パンとしての知名度も上がり、リピーターも益々増えております。そして幾つかの賞を頂いているのは、米粉消費拡大を図るという強い意思のもとに商品を開発してきた担当スタッフとパンに長けた強いリーダーとが協力して同じ方向を向いてきた努力の賜物であると常々思い、45名の組合員の熱意に私は感謝しております。

 

 最後に、米粉製品製造販売に係ることで農業の活性化と日本の自給率向上に少しでも役立てたらと思います。さらに米粉ビジネスと米粉の発展に大いに期待しています。

 

 さらに、加工組合さくらでは、2010年11月28日、「米粉プロジェクト 米粉ベジ・シュー」が第20回信州の味コンクールにおいてふるさと創作料理部門で優秀賞に輝きました。 米粉100%使用で、バターを使わず菜種油を使ったヘルシーなシュー皮。黒い皮は、竹炭パウダーで、中身はかぼちゃ・紫いも・こしあん・小松菜&長いも・人参・黒ごま。野菜の旨味を閉じこめてあります。販売も開始しています。

 

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