食べて100才まで元気に!
そら と だいち の健康玉手箱
そら と だいち が
健康情報をお届けすることになりました。
そら は、4千年も稲を育てている超ベテラン。
だいち は、まだ100年の新米です。
経験豊富なそらに
だいち は、いろいろ教えてもらってます。
そら と だいち が
健康情報をお届けすることになりました。
そら は、4千年も稲を育てている超ベテラン。
だいち は、まだ100年の新米です。
経験豊富なそらに
だいち は、いろいろ教えてもらってます。
伝統米食の長寿細菌
(お米はスーパーフードだった その6)(前回からつづく)
病気を遠ざける腸内細菌
糖質オフブームの時代が来たと思ったら
米食中心の伝統食が長寿の鍵になりそうだね。
それは、最新研究からも裏付けられそうよ。
鍵を握るのは、腸内細菌。
100才以上の割合が全国平均の3倍という
長寿の里で知られる京都府京丹後市での調査(※1)では
大腸がんにかかる率が京都市に比べて2分の1、
血管年齢が全国平均より10才若く、
血糖値、中性脂肪が低く、骨密度が高い・・・
などの特徴が見られ、
その背景には腸内細菌があるというもの。
腸には1000種類、100兆個もの細菌が生息してるって聞いたことがある。
そういった多様な細菌の集団は、「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」って呼ばれ、
「腸内フローラ:Flora:フローラはお花畑や生物の集団の意」とも言われる。
つまり、腸のお花畑にどんな菌がどれくらいすみついているかによって健康が左右されるってこと。
人は、善玉菌、悪玉菌とかに分類してるけど、
それぞれの食べた物を分解するのが得意な菌が増えるってことでしょ。
そのとおり。
食べた物によって腸内細菌叢が大きく変わってくるってこと。
京丹後市の人たちは、京都市内の人たちと比べて
ヨーグルトを食べる量は同じだけど、
玄米や麦ごはんなどの全粒穀類、野菜、豆、魚、海藻類、果物を食べる量が多い。
それによく歩き、よく眠り、人付き合いも活発という特徴が見られたそう。
そんな京丹後市の人たちの腸内細菌には
「酪酸産生菌」が多かった。つまり「酪酸」を生み出す菌の種類のこと。
「酪酸」は、「短さ脂肪酸」の一種で、腸などの健康に効果をもたらす様々な働きをしてるよ。
たとえば、「酪酸」があると、小腸の柔毛は健康で大きくなり
ビタミンやミネラルを多く吸収できるようになる。
腸のバリア機能を高めて免疫力アップにつながる。
大腸や肝臓のエネルギー源になる。
免疫の暴走を抑えるTレグ細胞を活性化して
→炎症性の腸疾患やリウマチ、アレルギーなどを抑えたり、
→骨が細胞の活性化を促し骨粗しょう症予防につながる。
寿命の延長、加齢による筋委縮の抑制にも関与。
大腸がんのねずみの実験などでの腫瘍抑制、膀胱がん抑制効果も報告されてる。
逆に、うつ病、パーキンソン病、多発性硬化症では酪酸菌が減少することが分かってきた。
腸内細菌は、まるで長寿と健康の薬のようだね。
別の最新研究で、日本人1800人を対象にした調査結果(※2)でも
病気にならない人たちがもっとも多いグループの腸内には、
全粒穀類、玄米、麦などと仲がいい「プレボテラ属」の菌が多いことが分かった。
一方で、不健康な人がもっとも多いグループの腸には「ルミノコッカス科」の菌が多く、高たんぱく、高脂質な食事をしている人たちが多かった。
後者のグループは、前者のグループに比べて
高血圧が11倍、糖尿病の人が12.5倍もいることが分かったそうよ。
やっぱり米食中心の伝統的な食事をしている人の腸には
体を健康にしてくれる菌がすみつくんだね~。
血糖値を下げる腸内細菌
腸内細菌は、高血圧や血糖値を下げてくれるの?
はい。
アメリカ・イリノイ大学の調査で、腸内細菌叢が血糖コントロールに関連していることが報告された。
神戸女子大学の研究チームは、糖尿病治療薬が血糖値を下げるメカニズムに腸内細菌が関与していることを発表している。
腸の細菌を大切にしないとね。
腸内環境をよくするには、やはり食事だね。
ぬか漬けや味噌などの発酵食品や
菌のエサや住処(すみか)になる食物繊維を毎日食べることが大切。
京丹後市の人たちの食べているものにも多くの食物繊維が含まれていたよ。
食物繊維は、大腸がんのリスクを軽減してくれたり
様々な健康効果がある。
でも、日本人の平均的な摂取量は1日あたり14~15gで
世界基準の1日当たり24gに比べてかなり低いね。
食物繊維は、カロリーゼロの炭水化物で
第6の栄養素だったね。
食物繊維は、人の消化酵素では消化できない成分で、
水に溶けない不溶性食物繊維と
水に溶ける水溶性食物繊維があるよ。
両方食べたほうがいいわけね。
不溶性食物繊維を2、水溶性食物繊維を1
の割合で食べるのがよいバランスと言われてる。
不溶性食物繊維の特徴は、
その1 穀類やイモ類、豆類、根菜類に比較的多い。
その2 胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ蠕動運動を活発化して便秘を防ぎ
便通を整えて腸内環境を改善する働きがあるよ。
水溶性食物繊維の特徴は、
その1 海藻類に含まれる「アルギン酸」、果物類の「ペクチン」、コンニャクイモの「グルコマンナン」、ごぼうや菊芋、ニンニク、玉ねぎなどの「イヌリン」、大麦の「β-グルカン」などの種類があるよ。
その2 ねばねばしているので胃の中の移動が遅くなり、その分消化もゆっくり。
・・・だから、食後の糖の吸収をゆるやかにしたり、
・・・食べ過ぎを防いだり、腹持ちをよくしたりしてくれる。
その3 コレステロールやナトリウムを体外に排出する作用もある。
その4 腸内細菌のエサにもなり、整腸作用がある。
主食の食べ方が健康の決め手
水溶性食物繊維の「β-グルカン」や「イヌリン」などで糖尿病の新薬を作った大学の教授もいるよ。
水溶性食物繊維、すごいね!
水溶性食物繊維の働きは、京丹後市のような伝統食にもみられるよ。
たとえば、京丹後市の人たちや昔の人たちがよく食べていた麦ごはん。
ひと昔前の人たちは、お米5~8に対して大麦5~2の割合で食べることが多かった。
これを3食大盛りご飯を食べて、カロリーベースで穀類が全体の70%になっても
今より糖尿病の人が少なかったのは、
大麦に含まれる水溶性食物繊維の「β‐グルカン」のお陰。
「β‐グルカン」の働きは、
その1
糖質の吸収を抑え、血糖値の上昇を防いでくれる。
・・・しかも、その効き目が長い。
たとえば、朝食に食べたら、昼食のあとの血糖値の上昇まで防いでくれるよ。
その2
血中コレステロールを低下させる。
その3
腸内の環境を整えてくれる。
ごはんの食べ方は大切だね。
主食は毎回食べるから、工夫すれば効率的に健康効果が高まるよ。
玄米に含まれるγ-オリザノールも
食後の血糖値の上昇を抑えてくれる。
γ-オリザノールは玄米特有の成分でいろいろな効果があったよね。
(→ 健康玉手箱第4回 必須栄養素で米食が現代人を救う 最終ページを参照)
健康的な主食の食べ方はまだまだあるよ。
次回につづく
◆注釈 及び 参考サイトついて
※1 京丹後長寿コホート研究
関連サイト
https://umekita2nd-isk.com/2020/wp-content/uploads/pdf/kyotomedicine-univ_6-1.pdf
参考サイト
NHKクローズアップ現代
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/p2GNPYGy7K/
日経GOODAYS
長生きする人が食べているものは? 百寿者の食卓の秘密を探る
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/21/082400032
※2 京都府立医科大学、摂南大学、株式会社プリメディカ、三者共同研究「腸内細菌叢研究データベースの統合的解析による腸内環境評価システムの開発」
関連サイト
https://www.setsunan.ac.jp/news/detail.html?id=5548
参考サイト
NHKクローズアップ現代
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/p2GNPYGy7K/
◆参考文献・参考サイト
・「酪酸菌を増やせば健康・長寿になれる~今、話題の酪酸・酪酸菌のすべてが分かる!」 内藤裕二著(あさ出版)
・「血糖値は腸で下がる」森豊、松生恒夫著(青春出版社)
・日本米粉協会
https://www.komeko-life.com/healthy
・「医師たちが認めた玄米のエビデンス」 Kindle版 渡邊昌監修 (veggy Books)
・食剤師教育プログラム テキスト (デザイナーフーズ株式会社)
NPO法人農都会議理事
トル―・エコライフ株式会社代表取締役
健康・環境ライター、ヨガインストラクター、食剤師
環境や健康ジャンルの雑誌記事などを20年以上担当。
小麦粉製品を長年食べ続けて体調を崩した経験から
米食中心の食事スタイルを心掛けている。
フリーライター
中村いづみ