2014年09月09日 活動報告
食物アレルギーセミナー開催内容
当法人は2014年8月25日、銀座フェニックプラザにおいて「米粉活用による食物アレルギー対応セミナー」を開催いたしました。以下、そのセミナーの開催内容の概要をお伝えいたします。
基調講演をいただいた海老澤先生は、実際に病院で実施している負荷試験の重要性について語っていただきました。負荷試験を実施する意味は「アレルギーを持つ方々が、実際はどのくらいまでアレルギー食物を食べても大丈夫なのかということの確認作業です。」このことにより、アレツギー食物を一切口にしないという選択から一歩進めるごとができる点に不可試験の大きな意義があるのです、という点を強調されておりました。それにより、ただアレルギー食物をたべないという、食生活にとって決して好ましくない状態の改善がはかれるというお話でした。この背景として2012年に起こった乳製品アレルギーの児童が、なくなりましたたいへん不幸な出来事を挙げ、このような出来事が出来した原因の中に、人間の過ちや重症患者に対する適切な対策を実行するためにも、きちんとした診断が必要となるのです、というお話をいただきました。なお、食物アレルギーに対する海老澤先生の優れた著書がありますので、皆さん是非ご一読されることをお勧めいたします。
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パネラーの方々は、右から国立病院機構相模原病院臨床研究センター栄養士長谷川実穂氏、食物アレルギーの子を持つ親の会代表武内澄子氏、全国学校栄養士協会理事杉本眞吾氏、食物アレルギーを持つ子の親である中塚裕子氏の皆さん。
第2部のパネルディスカッションでは当法人の副理事長萩田敏のコーディネートによるパネルディスカッションが行われました。「それぞれの立場からの現状と課題」というテーマでパネラーの皆さんからお話をいただきました。長谷川先生からは、病院での現場での体験から、負荷試験は患者さんサイドでも認識がまだ不足されており、病院・医療機関においても負荷試験を受けることが少なく近隣の病院で診察を受けるような状況は、残念ながら多く見受けられます。また、食物アレルギーに関しては食品メーカー全体でもその重要性をお考えいただければ、たいへん力強い対応が可能になると思いますとのお話をいただきました。さらに武内氏からは、米粉のアレルギーに対する有用性を語っていただき、そのためには米粉の優れた特性をもっと周知していただく努力がほしいという、厳しい意見もいただきました。そのためにも米粉消費拡大は重要であり底辺拡大を地道に行っていくことが肝要ですとのお言葉をいただきました。さらに学校給食でアレルギー児童対策を長年実施されておられる杉本先生からは、学校給食において、米粉を広めるために、普通の小麦パンと米粉パンを出し、その食感などを児童に直に理解してもらうことなども積極的に行っていますとのお話でした。杉本先生の基本的なお考えは、米粉を単に小麦粉の代替品というとらえ方はせず、新しい食材としての位置づけを図ることにあるという正論であります。つづいて、中塚裕子氏は不可試験の重要性に着目され、単にアレルゲンを取り除いての食生活から、負荷試験により食べられる量を模索していく、という認識になっていますとのお話でした。これは、まさに海老澤先生が提唱されていますことを実践されているということです。そのためには、食材などの購入時に現材料表示での判断しか手立てがないので、表記方法により一層の工夫がほしいとの要望でした。パネルディスカッションは現場の声そのものを反映したお話であり、たいへん考えさせられる有意義なものとなりました。
最後にセミナー開催時に同時展示されました米粉製品の数々をご紹介いたします。米粉は技術革新により、微細な粉が開発され、ほとんどあらゆる商品に、食材として利用できるようになりました。その商品群の一端を是非ごらんください。