Q1.上新粉と新規米粉はどこが違うのですか?

A1.お米を粉砕して粉にしたものを米粉、または米穀粉といいます。従来作られてきた米粉には、上新粉、もち粉、白玉粉、道明寺粉、寒梅粉など商品に合わせた様々な粉がありましたが、近年新たな製法で微細粒に粉砕した新規米粉が作られるようになっています。

上新粉は、精白したうるち精米を水洗い、水切りし、生乾きの状態で製粉します。その後、粉を乾燥し、上新粉となります。地方によっては、しん粉、米粉、米の粉とも言われているようです。

それに対して新規米粉と言われているのは、米を上新粉より細かい微細粒粉に製粉したもので、従来の米粉食品以外に、米粉パン、米粉めん、ケーキ、ホワイトソース等、新しい分野に米粉を使う目的で開発されたものです。これまで小麦粉で作られていた食品も、米を微細粒粉に製粉することで対応できるようになり、さらに新たな様々な食品開発も可能となっています。

Q2.上新粉などの原料米はなぜ水に浸漬するのですか?

A2.乾燥した米は硬いので、米に水分を加え、米を軟化した状態で製粉します。米を軟化して製粉することで、粉砕による熱等によるダメージが少なく、米の性質の変化を抑えた製粉方法といえます。

Q3.でんぷん損傷の高い米粉はどのよう影響がありますか?

A3.一般的には、でんぷん損傷度が高い米粉は吸水率が高くなることや粉に吸水後の生地において水分をはき出す傾向が考えられます。米粉パンの食パンなどでは、ケービングが起こりやすいといわれています。

Q4.微細粒粉(新規米粉)の製粉はどのようにするのですか?

A4.微細粒粉の製粉については、粉の粒度の大きさが30~70 µmが大部分を占めているものを一般的には微細粒粉といわれています。

製粉における注意点としては、粒度を小さくする程に粉砕時におけるでんぷん損傷も増加する傾向にあります。米粉の特性が米粉商品の加工適性に合った製粉には、製粉方法、製粉機種の選択が求められます。

微細粒粉の主な製粉としては、でんぷん損傷を押さえ効率的に微細粒粉に製粉する方法として、原料米に加水し、軟化させ製粉する湿式製粉が一般的に行われています。

Q5.だんご粉とはどのようなものですか?

A5.うるち米を粉にした上新粉にもち米の粉を混ぜたものが一般的です。なお、米粉ケーキや米粉パンの粉より少し粗い粉が団子や柏餅には向いています。

Q6.米粉ミックス粉とはどのようなものですか?

A6.米粉調理に必要な副材料を混ぜた粉で、パン用ではグルテン等を混合しています。

Q7.グルテンとはどのようなものですか?

A7.乾燥した米は硬いので、米に水分を加え、米を軟化した状態で製粉します。米を軟化して製粉することで、粉砕による熱等によるダメージが少なく、米の性質の変化を抑えた製粉方法といえます。グルテンとは、小麦グルテンを指します。小麦中のタンパク質の約85%を占める水に不溶性のタンパク質です。グルテンは、グルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質からなっており、生地をこねることでこれらのタンパク質が絡み合い結合して網膜組織を作り、イースト菌による醗酵で生じる炭酸ガスを閉じこめることで、生地が風船のように膨らんでパンになります。

Q8.パン用ミックス粉とはどのようなものですか?

A8.米にはグルテンがないため、イーストを加えて醗酵しても一般の小麦粉パンのようにはなりません(膨らみにくく、つぶれやすい)。そこで、米粉にグルテンを加え(15~20%程度)網膜組織を作り、小麦粉パンと同様な作り方でパンを作ります。このようなパン作りの材料として、米粉にグルテン(小麦から抽出)を混合した“米粉パン用ミックス粉”が市販されています。

Q9.米粉パンの原材料として使われる増粘多糖類とはどのようなものですか?

A9.米粉パンなどに使われる増粘多糖類として、マメ科の植物の実から抽出したグァーガムなどが使われることがあります。

 増粘多糖類には色々なものがありますが、いずれも高い粘性をもつ水溶性の多糖類で、とろみを付けたり、食感の歯ごたえ、舌ざわり等を調節したりする、増粘安定剤(増粘剤、安定剤、ゲル化剤)としての用途で使用されます。

 主なものには、マメ科の植物の実から抽出したグァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、微生物が生成するキサンタンガム、カードランなどがあります。

Q10.  米粉100%の粉でどんな食品ができますか?

A10.  小麦粉でできる食品はほとんど可能です。ただし、小麦粉パンなど発酵により気泡でふんわりさせる食品には、一般的にグルテン15~20%を加えることで小麦粉と同様な調理で可能です。

Q11.  米粉100%の粉でパンができますか?

A11.  グルテンを加えない場合には、小麦粉パンとは製法が少し違いますが、可能です。

食感も小麦粉パンのようにふんわりとは少し違いますが、もっちりの食感になります。

作り方ですが、ボールに米粉とドライイースト(3%)、食塩(2%)、砂糖(好みで5~10%)、油脂(サラダオイル3%)に米粉と同量の水を加え、ハンドミキサー等で良く撹拌し、ボールにラップし、40℃で10~20分発酵させ、再度撹拌し型に流し込み5~10分程度置き、オーブンで40~50分200℃で焼成。焼成後、型から出して半日程度してからカットします。

Q12.  米パンをホームベーカリーでできますか?

A12.  米粉対応のホームベーカリーでない場合は、全自動ではできませんが、捏ねはできます。また、餅つき器で手早く捏ねができます。その場合、ボウルで粉、副材料と水を加え、丸めてから餅つき器で捏ねを行いますと手軽に生地ができます。

なお、もちつきのはねの回転が速すぎる機種ですと捏ねられないものもあります。

Q13.  料理用(天ぷら粉、ケーキ、たこ焼き等)の米粉はどのようなものがよいですか?

A13.  調理用では食品に滑らかさ(食感)が求められますので、ケーキやたこ焼き、ホットケーキ等には微細粒の粉が適しています。グルテン等加えることなく米粉100%で様々な食品に使うことができます。

なお、天ぷらや唐揚げの場合、多少粗い粉でも大丈夫です。

Q14.  米粉ケーキの特徴は?

A14.  米粉ケーキも小麦粉と同じような作り方でできます。

特徴としては、油脂を加えることなく、しっとりヘルシーなケーキになります。また、米粉はふるいでふるわなくてもダマになることはありません。

Q15.  米粉100%で簡単にできるパン風にできるものはありますか?

A15.  調理用米粉に卵等(ケーキ生地と同じ作り方)を加えて油で揚げると揚げパンができます。より“ふんわり感”を持たせたい場合は、メレンゲと卵黄を加えて生地を作ります。また、同じ方法で蒸しパンもできます。

Q16.  もんじゃ焼きは米粉でできますか?

A16.  もんじゃ焼きやお好み焼き、たこ焼きなどは米粉でできます。むしろ小麦粉より適しています。ダマにならない。クリーミーにできる等の特徴があります。

Q17.  米粉の天ぷらの特徴は?

A17.  一番の特徴はカリッと揚がることで、クリスピーな食感となります。また、小麦粉より油の吸収が抑えられますのでヘルシーとなります。

Q18.  米粉でホワイトソースができますか?

A18.  簡単にできます。鍋に牛乳500ccと、米粉(微細粒粉)30~60グラムに、コンソメ等を加え、木べらで混ぜながら中火で15分程過熱しますと、とろみがつきますので最後に塩・コショウで味を整え、バターを適宜の量を加えればヘルシー簡単ホワイトソースが出来上がります。

とろみの加減は米粉の分量で調整すれば、グラタンやかにクリームコロッケなどにできます。なお、グラタンなどでは、具を鍋で炒め次に牛乳、米粉を加える手順でとろみがつきますので、ホワイトソースを別に作る手間を省く方法でできます。

Q19.  米粉パンに向く米粉とはどのようなものですか?

A19.  米粉パン用の米粉は、ダメージを受けない製粉工程を経ることが重要です。ダメージを受けた粉とは、製粉工程で品温が上がり原料米が熱等で変化(デンプン損傷)を起こした粉で、二次加工適性のよくない米粉となります。

Q20.  米粉パンに向く品種はありますか?

A20.  米粉パンに向く品種としては、中アミロース(16~20%程度)の一般に食べられている品種が適していると言われています。糯やミルキークイーンなどの低アミロース米は不適です。なお今後は、低コスト化に資する多収穫品種であることも米粉用米の条件として求められていくでしょう。

Q21.  米粉パン作りにおけるポイントは?

A21.  グルテンを15~20%加えた米粉ミックス粉の場合、1に米粉パンに適した微細粒粉で製粉におけるダメージの少ない粉を使用することが必要です。

2に生地作りにおける適切な加水量が重要です。製粉方法等により粉の性質に違いがありますので吸水率も違ってきますので米粉に合った吸水率が必要です。粉により吸水率73~80%の巾があります。

3に捏ねにおいて生地温度を28~30℃程度に保つことが必要です。そのため、夏は冷水、冬は暖かい水を加水し捏ねることが必要です。

Q22.  米粉パンを製造したいのですが、どのような機器が必要ですか?

A22.  業務用では、オーブン、ホイロ(醗酵器)、ミキサー、調理台が最低必要です。このほかに、モルダー(生地の成型)、分割丸め器などが考えられます。これから機器をそろえる場合は、どのような販売形態をとるのか、1日の生産量はどれくらいを目指すか、などの十分なマーケティングリサーチを事前に行ってから生産量に合わせた機器を揃えることが重要です。

Q23.  米粉パン用の米粉の製粉にはどの方式の製粉機が良いですか?

A23.  予算や米粉製粉量、さらには米粉パンの種類などで異なってきますので、一概に言えませんが、食パンなど膨らみが求められるパンを作るためには、ダメージが少ない製粉方法が良いと考えます。ダメージを少なくするためには、米を水に漬けてから製粉する方法がありますので、水分含有(25~30%)の高い原料米が製粉できる湿式で行える製粉機が考えられます。

Q24.  ダメージを与えない製粉方法とはどのようにすればいいですか?

A24.  ダメージを与えない製粉には、原料米を軟化させることが要素の一つです。

そのため、原料米を一定時間の浸漬を行います。その後、水切りし粒の心まで水分を均質にするため一定時間の調質により水分含有量25~30%の原料米を粉砕し製粉を行います。さらに、製粉した粉は、気流乾燥により粉水分を12%前後に乾燥し、製品となります。

なお、水分含有が高すぎると製粉が困難になるため、製粉機械に合わせた水分値にすることも重要です。

Q25.  米粉の水分含有率はどの程度がいいですか?

A25.  粉砕によりできあがった米粉は常に一定水分に仕上げることが必要です。原料米粉の水分含有率が一定でないと、製パンにおける吸水率が異なり、パンのでき具合に大きく影響します。米粉製品としての品質保持等も考慮して、粉の水分値は12%前後に仕上げるのが適切かと思われます。

Q26.  米粉パンやケーキ用の米粉の粒度はどのくらいが求められますか?

A26.  二次加工適性を左右するのは粒度だけではありませんが、粒度分布が大きな影響を与えます。一般的には75ミクロン(200メッシュ)を70%程度は通過するくらいの微細粒が求められます。粒度が粗いと製パン適性等が劣ることが分かっています。

Q27.  米粉パンやケーキなど米粉食品の技術や理論を教えてくれる料理教室はありますか?

A27.  米粉パンやケーキ及び各種米粉調理など専門的に教えている料理教室は、「こっけんクッキング」があります。初心者向け、専門的なコースなど各種行っていますので「http://www.seifun-ryouri.jp」までご覧ください。