2016年03月08日 お知らせ
第3回全国米粉料理コンテスト全国決勝大会結果報告
栄えある全国グランプリに秦千晴さん
栄えある全国グランプリに大分県中津市の秦千晴さん(33)の作品「ボッチンちゃんぷる」が輝き、3代目「米粉の名人」の称号を得ました。
第3回全国米粉料理コンテスト―「米粉の名人」料理グランプリ2015の全国決勝大会が、3月5日、東京・中央区の製粉会館で開かれました。昨年11月から今年1月まで、全国5ブロックで開かれた地区決勝大会で選抜された15人が顔を揃え、考案したレシピを自ら調理し、試食した審査員に作品を説明し、「全国一」を競いました。主催は、NPO法人国内産米粉促進ネットワーク(島田圭一郎理事長)。
その結果、秦さんの作品が、全国グランプリを獲得、全国準グランプリには、北海道虻田郡の今春、高校を卒業した阿部舞子さん(17)の「秋野菜の米粉チェックケーキ」と広島県広島市の専門学校生、藤井豪さん(19)の「米粉のラザニア」が選ばれました。秦さんの「ボッチンちゃんぷる」は、ベトナム料理の「ボッチン」にゴーヤチャンプルーを併せた「多国籍」米粉料理で、審査員からは「発想の斬新さ」などが評価されていました。
作品の水準髙く、白熱した審査会議
審査された15点とも地区グランプリ、同準グランプリに選抜された作品だけに水準は高く、6人の審査員は試食しプレゼンテーションを聞きながら様々な角度から質問していました。
審査会議でも、それぞれの立場から意見を開陳、白熱した会議となりました。
なお、会議の中で、特別賞「食物アレルギー対応レシピ」は、小麦、鶏卵、乳製品を全く使用していない作品がなかったため、該当なしとし特別奨励賞を追加することを確認しました。
審査作品を展示、試食して意見交換
試食審査で出場者が盛り付けた審査展示用作品は、試食審査後は、調理室に移され、一般参加者とともに試食しながら意見を交換しあいました。出場者は、自らの作品への問いかけに対して丁寧に説明、活発な意見交換となりました。
審査会議終了後直ちに、出場者、参加者、関係者ら50人余りが参加し、「表彰授与式」を行いました。式の進行は、元日本テレビアナウンサーで現在フリーの関谷亜矢子さんの司会で取り進められました。
主催者あいさつ
関心が広がり、作品の水準高まる 島田理事長
まず、主催者のNPO法人国内産米粉促進ネットワーク(CAP.N)の島田理事長があいさつ、「これまで3回のコンテストを通じて、わが国唯一の全国米粉コンテストとして各地で草の根的に関心が広がっており、商品開発を競い合うまでになっている。また、地区の大会ではホテルの料理長や専門家が審査員を務めており、こんな料理ができるのかと驚くほど、水準が高まっている。さらに、グルテンフリー作品の応募が多くなってきている。こうしたことがさらに継続され、米粉の魅力を消費者に知ってもらい、日本の食文化、地域経済の発展に貢献できれば、と思っている」と、3年間のコンテストから得た成果を、強調しました。
次に賞状授与する農林水産省をはじめ9団体の来賓の紹介があり、来賓を代表して、農林水産省米麦流通加工対策室の大西正晃室長があいさつをしました。
来賓あいさつ
魅力的な商品開発で、地道な消費拡大はかろう
農水省・大西正晃米麦流通加工対策室長
大西室長は「農水省としても、米粉の利用促進をはかるため、新たな用途の拡大をはかっている。このような中で、本日審査されたどの作品も興味と好奇心あふれるものばかりで、料理した方々の熱意が感じられる。食品会社や消費者がどのようなところで使いたいのかを見極め、魅力的な商品開発をすることで、関心を持つ人たちを広げていくことが、地道な消費拡大につながる。米粉の世界が広がるよう、このコンテストを主催するCAP.Nをはじめ関係者の皆さんで頑張ってほしい」と、米粉の利用促進へのさらなる取り組みの強化を求めました。
張りつめた中で審査結果の発表
いよいよ会場の張りつめた雰囲気の中で、関谷アナから各賞の発表がありました。優秀賞3作品、特別賞4作品についで全国準グランプリ2作品が紹介され、最後に全国グランプリのレシピ名、名前が発表されました。各賞受賞者は、
名前を呼ばれるたびに、緊張の中にも喜びを漂わせ指定された席に移動していました。
この後、「全国グランプリ」から順に政策統括官賞や各団体会長・理事長賞が農水省・関係団体の来賓から授与されました。
審査員の審査講評
審査講評では、審査員が一言ずつ感想を述べました。
「第1回から審査員をしてきたが、毎回、作品の質が高まっている。地域から米粉料理を発信してほしい。農水省としても支援していきたい」(那須慎吾審査員)、「どの作品もおいしく、すべてに満点をあげたいくらいだった。地元の食材を使い、地域のみんなに米粉料理を食べてもらう。JAグループとしても応援していきたい」(樋口直樹審査員)、「昨年度から審査員、今年度は書類審査からかかわってきた。小麦粉の代替品ではなく、米粉を有効に使う料理が目立ってきた。来年も新たな出会いに期待したい」(平尾由希審査員)、「熱意のこもった料理を食べさせてもらった。全く新しい使い方と発想、しかも地元の産物をミックスして作品として完成させていることに感服した」(杉野隆宏審査員)、
「かなりレベルの高い大会だ。環境の変わる調理台で料理するのは大変だったが、技術と根性のある人たちばかりだ。米粉は、食物アレルギー問題でも注目されている。ますます盛り上がってほしい」(井田仲弘審査員)。
審査委員長総評
命に直結し、愛情が加わった米粉料理
浜 美枝審査委員長
審査講評をまとめる形で、浜美枝審査委員長が総合評価を述べました。浜委員長は「どなたがグランプリの席に座れてもおかしくないほどの出来栄えだった。若い方、特に学生さんたちが、料理に関心を持ち、コンテストに参加してきた、日本は大丈夫、と実感した。また、愛情を込めて色々な思いを持って米粉のコンテストに応募してきている。食は命に直結している。そこに愛情が加わったこのような米粉料理が、外食、給食、家庭へと浸透していってほしい」と、審査作品に込められた参加者の思いを丁寧に分析して、語っていました。
グランプリ受賞者スピーチとインタビュー
米粉を使って国の枠にとらわれない料理を
秦千晴さん
最後に全国グランプリを受賞した秦さんがスピーチ。秦さんは「こんな素敵な賞をいただき、感激している。本職の食品開発の仕事や地元でお手伝いしている6次産業化振興のカフェなどでも米粉を使った料理を提供、普及していきたい」と、喜びと今後の意気込みを話しました。
続いて関谷アナから受賞インタビュー。
――ベトナム料理から発想を得たきっかけは。
秦さん「国際交流の大学が近くにあり、ホームスティで受け入れたベトナムの娘さんから教えていただいた」
――今日の調理で苦労されたのは。
秦さん「出来上がってすぐ食べてもらうのがベストだが、5~10分過ぎて食べてもらうので、揚げ加減に気を使った」
――誰か応援に来ていますか。
秦さん「私の息子と母が来ています」
――抱負を一言。
秦さん「イタリア料理を専攻した。これからは、枠にとらわれない料理を米粉を使って作っていきたい」
最後にCAP.Nの萩田敏副理事長が閉会のあいさつをしました。萩田副理事長は「3回目となったコンテストだが、年々、中身が濃くなってきた。色々なところで使ってもらい、地域に広げるため昨年度のコンテストのレシピ集を作成した。グルテンフリーということで米粉が脚光を浴びてきている。機能性も含め、米粉の良さを広げていきたい」と、今後の活動のポイントをまとめていました。