2018年12月03日 お知らせ
スペイン米粉プロジェクト活動報告第二弾
具体的な価格や数量、商流を提示し合う
輸入に関心の卸・店舗、和食店と意見交換
30日は、日本産米粉の輸出に向けた具体的な商談を日本の製造事業者(小林生麺㈱、㈱大潟村あきたこまち生産者協議会)と現地関係者と行いました。訪問したのは、今年1月の各種イベントに参加、日本産米粉の優れた特性を理解し輸入にも関心を持つマドリード市内で健康食品店舗を経営する卸と同市内で高い人気を誇るラーメンを中心にした和食店を経営する関係者です。
各種グルテンフリー食品を品ぞろえする「FOODY」の販売責任者のアナマロンソさんとオーナーのデヴィドパリオさんが応対しました。話し合いの中で話題となったのは、やはり価格でした。両氏ともグルテンフリー食品とし地元産米粉や他の食材を使用した製品より優れている点をわかっているだけに、どのような形態での物流なら安く手に入るか、に強い興味を示しました。
2時間近い意見交換の中で、米粉本体を業務用など大きなサイズで輸入、スペイン国内で消費者向けのパッケージに分けるなどをして価格帯を下げる方向性で相互に一致しました。具体的には、同行した貿易会社・野村貿易㈱が1,000キロを現地で引き受けることを想定して、流通経費などを含めた現地着価格を提示して行くことにしました。
次に訪ねたのは、市内で行列のできるラーメン店「KAGURA」や和食店「HANAKURA」(花くら)を持つ若き経営者、小野田圭吾さんです。ラーメン店ではグルテンフリーのラーメンを提供していることで有名です。ここでも話の中心は輸入価格でした。小野田さんは「日本食材店で売っている小林製麺の商品は約4€。これを食材にすると提供価格の7.7€では、店はやっていけない。現在はフォーを使っているが500グラム2€で仕入れている」と語っていました。
これに対して小林生麺の小林宏規社長は、新しく開発・販売したインスタント(乾麺)を紹介、賞味期限の長さや動物由来を排除したスープなどの特徴について説明しましたまた。小野田さんが新メニューとして考えているつけ麺や焼きそばにも対応可能と話しました。最終的には、現状販売している小袋ではなく,包装なしの500キロ(4,000食)単位で仕入れ、保管場所は既にあることから1玉2€に近い価格が可能かどうか、野村貿易㈱も含めて検討していくことにしました。
市場内のバルが工夫を凝らして調理
日本産米粉料理の試食ツアーに参加者満足
30日からは市内のパジェルモーソ市場を舞台に「KOMEKOフェステバル」が12月2日までの日程でスタートしました。夕方17時半からは同市場内のオープンスペースで40人余りが参加してオープニングセレモニーが開かれました。CAP.Nの萩田敏常任理事が開会あいさつ、さらに日本産米粉についてのプレゼンテーションを行いました。また、小林生麺の小林宏規社長とあきたこまち生産者協会の石岡謙治東京支店長が自社説明などをしました。
最後に今回フェステバル開催に向け市場内をまとめてくれた沖縄県出身の仲西靖同市場代表は「日本産米粉を使い各バルが得意料理で提供することは、市場内での企画としては画期的だ。スペインの消費者に(日本産米粉が)どんな料理にも使え身近に感じてもらえれば最高だ」と、あいさつをしました。
市場内の10店舗が協力、事前に各店舗の売りの料理を日本産米粉を使い調理し展示しました。試食ツアーでは、協力店舗のうち和食の「Washoku」とグルテンフリー認証店舗のイタリア料理店「KinT」、クレープ料理の「La crepa」がツアー参加者に無料でふるまいました。
自社提供のグルテンフリーフェットチーネが鮮やかなイタリア料理に調理された小林社長は、料理店のシェフと熱っぽく話しながら「驚いたというより感激だ。米粉麺が世界で通用することを実感した」と、語っていました。
セリアックフェスティバルに参加
輸出された米粉、米粉麺に人だかり
12月1日は、マドリード市内で開かれた第35回セリアックフェスティバルに日本の組織として初めて参加しました。日本産米粉の専用スタンド(ブース)を設置、日本から持ち寄った米粉で調理した蒸しパンや米粉麺を入場者に提供しPRしました。また、現地のデストリビューター(卸)が輸入した米粉や米粉麺を卸会社が同じスタンドで販売し、人だかりの人気でした。
同フェスティバルは、マドリードセリアック協会などが主催し欧州ではグルテンフリー見本市として定着しています。主催者によると今年も入場者は1日で6,000人にのぼり、スタンドを設置した関連事業者は、50団体に達しました。
現地の卸が輸入したのは、日本産の米粉やミックス米粉、グルテンフリーヌードル(米粉麺)で、同法人の試食コーナーの隣に陳列されました。人気が高かったのはグルテンフリーヌードルで特に現地でも評判のラーメンのタイプは完売しました。子供にせがまれて2,3袋買っていく親子が目立ち、最終的には「ヌードル全体で600食ぐらい売れた」と、小林生麺㈱関係者はみています。「ラーメンは食べたいけれど、市内には有名店しかなく敷居が高い。グルテンフリーのラーメンなどめったに見ないので買いました」と、若いお母さん。
商談も持たれ、今回輸入した卸の紹介でパナマのデストリビューター幹部が同行した小林生麺と㈱大潟村あきたこまち生産者協会の関係者と接触、同幹部は「中南米でもグルテンフリー食品の関心は高い。ぜひ継続的に連絡し合いたい」と、前向きに語っていました。
会場内では、ワークショップも行われ、萩田敏常任理事が20人ほどの参加者を前に日本産米粉の特性やスペイン人にも興味がわくレシピを紹介しました。
また、会場内にインターネットスタジオが設けられ、萩田理事と視察に訪れた農水省の小川英伸農産企画課課長補佐がインタビューを受けました。